結論から言うと、見学会に10件以上まわった当時の私には「本当に高断熱な家かどうか」を見分けられませんでした。どの会社も「うちは高断熱です」と言うからです。実際に建てて2年住み、数字を知った今なら分かります。この記事では、当時の私が見抜けなかった理由と、今なら使える見極め方を正直に書きます。

家づくりを始めてから、大手ハウスメーカーも地元の工務店も含めて、見学会に10件以上足を運びました。それでも「この会社は本当に高断熱なのか」は、当時の私には判断できませんでした。
大手と地元工務店で、アピールしてくる中身が違った
10件以上まわって、はっきり感じた違いがあります。
| アピールの中心 | |
|---|---|
| 大手ハウスメーカー | 建物自体のすごさ(構造・技術・ブランド) |
| 地元の工務店 | 断熱材の種類、トリプルガラスなど、具体的な仕様 |
大手は「建物そのものの完成度」を語ってくれます。一方、地元の工務店は「うちはこの断熱材を使っている」「窓はトリプルガラスです」と、部材レベルの話をしてくれることが多かったです。
どちらが良い悪いという話ではありません。ただ、性能を知りたい側からすると、地元の工務店の説明の方が具体的で分かりやすかったのは事実です。
問題は、どこも「高断熱です」と言うこと
訪問した会社は、大手も地元も、ほとんどが「うちは高断熱です」と言いました。でも当時の私には、それが本当かどうかを確かめる方法が分からなかったのです。

「高断熱」「高気密」という言葉には、名乗るための資格も基準もありません。だから、どの会社も自由に使えてしまいます。当時の私は、その言葉を聞くたびに「そうなんだ」と思うしかありませんでした。

どこに行っても「あたたかい家です」って言われるから、だんだん何を信じたらいいのか分からなくなってきたよね。
ローコスト住宅で感じた違和感の正体
性能について勉強を進めたあと、ローコスト住宅の会社にも話を聞きに行きました。そこで「なんか違うかもしれない」と感じたのですが、その理由は今ならはっきり言葉にできます。
1つは、窓のガラスが性能の高いものではなかったこと。断熱で最も熱が出入りするのは窓です。そこにコストをかけていない時点で、目指している方向が違うと分かります。
もう1つは、キッチンのグレードがあらかじめ決まっていたこと。ローコスト住宅は仕様をまとめて仕入れることで価格を下げる仕組みなので、選べる範囲が限られます。これは悪いことではなく、そういう商品設計です。ただ「性能にお金を配分したい」という私の希望とは、根本的に合いませんでした。
面白いのは、勉強する前ならこの違和感に気づけなかったということです。知識があったから「自分に合わない」と判断できました。
決め手は、ホームページに図解付きで性能が書いてあったこと
最終的に依頼した工務店を選んだ決め手は、意外なところにありました。ホームページに、性能について詳しく書いてあったことです。
しかも、ただ「高断熱です」と書いてあるのではありません。「一般的にはこういう構造ですが、うちはこういう構造です」と、図解付きで違いを説明していました。
ここが大事だと思っています。一般的な工法との違いを図で説明できる会社は、その違いを理解した上で選んでいるということです。逆に、言葉だけで「高断熱」と書いてある会社は、何がどう違うのかを説明できていません。
これは今からでも誰でも確認できます。気になる会社のホームページを開いて、性能についてどこまで踏み込んで書いてあるかを見比べてみてください。会社の姿勢がはっきり出ます。
今の私なら聞く、性能を見極める4つのこと
正直に書いておくと、C値や気密測定について具体的に質問したのは、実際に依頼した工務店に対してだけでした。見学会をまわっていた頃の私は、そもそも「何を聞けばいいか」を知りませんでした。
2年住んで数字の意味が分かった今なら、次の4つを確認します。
- C値を数字で答えられるか
「高気密です」ではなく「平均でC値0.5前後です」と具体的な数字が出てくるか - 全棟で気密測定をしているか
C値は実際に建てて測らないと分かりません。測っていない会社は、自社の気密性能を知らないことになります - UA値を数値で言えるか
「断熱等級◯相当」ではなく「UA値0.4台です」と数値で答えられるか - ホームページで性能を説明しているか
一般的な工法との違いを、図解などで説明できているか

断熱等級は制度化されていますが、気密性能(C値)には国の基準も測定義務もありません。つまり、測るかどうかは会社の姿勢しだいです。だからこそ「測っているか」を聞くだけで、性能に本気の会社かどうかが分かります。数字の意味はUA値・C値とは?九州での目安と我が家の実測値をやさしく解説で詳しく書いています。
参考|パッシブハウス認定は「高気密高断熱」の先にある
ここまで「高断熱」という言葉には基準がない、と書いてきました。では基準がある世界はどうなっているのか。我が家が取得したパッシブハウス認定(ドイツのパッシブハウス研究所による世界共通基準)を例に挙げます。
よく誤解されるのですが、パッシブハウスは「気密と断熱を高くすれば取れる」ものではありません。認定には、次のような数値基準があります。
| 項目 | 認定の基準 |
|---|---|
| 年間暖房需要 | 15 kWh/m² 以下 |
| 年間冷房需要 | 15 kWh/m² 以下 |
| 年間一次エネルギー消費量(家電を含む) | 120 kWh/m² 以下 |
| 気密性能 | 50Pa加圧・減圧時の漏気が 0.6回/h 以下 (C値に換算すると およそ0.2〜0.4cm²/m²) |
注目してほしいのは、基準の中心が「どんな断熱材を使ったか」ではなく「実際にどれだけエネルギーを使う家か」だという点です。断熱材や窓のスペックを積み上げただけでは届きません。日射の取り込みと遮蔽、建物の形、換気の設計まで含めて、家全体で計算が合っている必要があります。
さらに、気密については実際に測定した数値の提出が必須です。計算上の想定では認められません。ここは「気密測定をしているか」という先ほどの質問とつながる部分です。
(出典:パッシブハウス・ジャパン)
認定のいちばんの価値は、住む側の「安心感」でした
実際に認定を取ってみて感じたのは、数字そのものより安心感が大きいということです。
「いい窓を使いました」「性能の高い断熱材です」という説明は、結局のところ建てる会社の自己申告です。それが本当に効いているのか、家全体としてどれだけの性能になっているのかは、住む側には確かめようがありません。良い部材を使っていても、施工や設計次第で結果は変わります。
認定は、そこに第三者が数字で線を引いてくれる仕組みです。基準をクリアしなければ認定は下りないので、「クリアした」という事実そのものが、家の性能の証明になります。


「いい窓を入れましたよ」って言われても、素人にはそれが十分なのか分からないもんね。数字で合格しているって分かるのは、住んでいて安心。
もちろん、家づくりのゴールが必ずパッシブハウスである必要はありません。我が家も「パッシブハウスでなければダメ」とは思っていません。ただ、世界にはここまで厳しく数字で線を引いている基準があると知っておくと、「高断熱です」という言葉との距離感がつかめると思います。
まず「基準」を持つと、比較ができるようになる
当時の私に足りなかったのは、知識よりも比べるための基準でした。1社だけ見ていると、その会社の説明が普通なのか特別なのかが分かりません。
おすすめは、複数の会社の標準仕様を並べて見ることです。窓は何が標準か、断熱材は何を使っているか、性能の数字を出しているか。3社も並べれば、書いてある会社と書いていない会社の差がはっきり見えてきます。
大手ハウスメーカーの資料は、この「基準づくり」に向いています。仕様が整理されていて読みやすいからです。まず基準を作り、その上で性能を突き詰めたいなら専門性の高い工務店を探す——この順番が、遠回りに見えて確実だと思います。
まとめ|見学会だけでは分からなかった
10件以上まわっても、当時の私は「本当に高断熱か」を見分けられませんでした。見学会は雰囲気や間取りを知るには良い場ですが、性能は見ただけでは分からないからです。
だからこそ、数字で聞くことと、会社が自ら性能を説明しているかを確認することが効きます。これから家を建てる方が、当時の私と同じ迷い方をしなくて済むように、この記事を書きました。
関連記事:大手ハウスメーカーと地元工務店、どっちがいい?/【九州・沖縄】パッシブハウスを建てられる工務店一覧/高気密高断熱の家は息苦しい?2年住んだ答えと、後悔しない全体像
▶保存版ロードマップまとめ|2年実測の全記事を読む順番に整理しました
建てたあとにかかったお金と光熱費の全データは、noteでも公開しています。→パッシブハウスに住んで2年。光熱費・夏の暑さ・後悔まで、実際のところを全部書きます
よくある質問
Q. 見学会には何件くらい行くべきですか?
A. 我が家は10件以上行きました。ただし件数より「比べる基準を持って行くこと」の方が大事です。基準がないまま数だけ見ても、印象しか残りません。
Q. 「高断熱」と言っていれば信用していいですか?
A. その言葉には基準がなく、どの会社も自由に使えます。C値・UA値を数字で答えられるか、気密測定をしているかで確認してください。
Q. ローコスト住宅は選んではいけないのですか?
A. そうは思いません。仕様をまとめることで価格を抑える、明確な商品設計です。ただ「性能に予算を配分したい」人とは方向性が合わない、というだけの話です。

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