結論から言うと、断熱・気密・窓・換気は「契約前」にしか決められません。住み始めてから「やっぱり性能を上げたい」と思っても、後から手を入れるのは現実的ではないからです。逆にコンセントや内装は、後からでも何とかなります。検討中の会社で大丈夫か迷っている方に向けて、2年住んだ立場から書きます。

性能の勉強が進むほど、「今検討している会社で本当にいいのか」と迷いますよね。私もそうでした。判断の助けになった出来事があるので、まずその話から。
「他も見て勉強した方がいいですよ」と言った営業さん
結果的に依頼することになる工務店の展示場に、初めて行ったときのことです。営業の方にこう言われました。
他も見て、勉強した方がいいですよ
正直、驚きました。ほとんどの会社は、自社の良さをアピールして、他に取られないようにします。それが普通です。なのに、わざわざ他社を見に行くことを勧めてくる。
そのときは「親切なのか、それとも強気なのか」と思ったのを覚えています。

ふつうは「今月中にご契約いただければ」って言われることが多いのにね。あの一言は印象に残ってる。
そこから性能について勉強し、見学会を10件以上まわりました。そして最終的に、その工務店に戻ってきました。
比較を勧める会社は、比較されても平気な会社
今になって思うのは、あの一言は自信の表れだったということです。
他社を見られて困る会社は、比較を勧めません。「見てきてください」と言えるのは、比べられても勝てると分かっているからです。そして実際、勉強した私は戻ってきました。営業さんの読みが正しかったわけです。
もちろん、これは我が家の一例です。「比較を勧める=良い会社」と一般化できるものではありません。ただ、性能の数字がまだ読めない段階でも使える判断材料ではあると思います。
同じことが、ホームページにも出ていました。その工務店は「一般的にはこういう構造ですが、うちはこうです」と図解付きで違いを説明していました。説明できる会社は、比較を怖がりません。根っこは同じです。
会社の探し方そのものは見学会に10件以上行っても「高断熱」は見分けられなかったに書きました。この記事はその次、候補が絞れた後の話です。
性能は2段階で決まる|会社選び → 仕様選び
家の性能がどこで決まるのか。我が家の経験では、2段階でした。
| 段階 | ここで決まること |
|---|---|
| ①会社を選ぶ | 標準仕様のレベル(=その会社の土台) |
| ②仕様を選ぶ | その会社の中で、どこまで上げられるか(=上限) |
我が家が依頼した工務店には、仕様が2種類ありました。
- 標準仕様——これでも高気密高断熱
- 上位の仕様——パッシブハウス認定が取れる可能性のある仕様
我が家は上位を選びました。ここで大事なのは、標準仕様の時点ですでに高気密高断熱だったということです。つまり会社を選んだ時点で、土台の高さは決まっていた。
逆に言うと、標準仕様の性能が低い会社でオプションを積み上げていくより、標準が高い会社を選ぶ方が確実です。オプションには「その会社が対応できる上限」があり、それは変えられないからです。
だから「検討中のメーカーで大丈夫か」を判断するとき、見るべきはオプションで頑張れるかどうかより、標準仕様がどのレベルかだと思います。
後から直せるもの、直せないもの
契約前に力を入れるべきかどうかは、この基準で分けられます。
| 項目 | |
|---|---|
| 後から直すのが難しい | 断熱・気密・窓・換気・建物の形・日射のコントロール |
| 後からでも何とかなる | コンセント・照明・内装・収納・家具・家電 |
我が家の唯一の後悔はコンセントの数ですが、これは後から増やせるし、延長コードでもしのげます(コンセントの後悔、全部書く)。一方で断熱や窓は、住み始めてから変えようとすると、壁を壊す話になります。

予算が足りなくなったとき、我が家は家を小さくして性能を守りました。広さは後から変えられませんが、暮らしてみると図面で思ったより狭く感じません。性能を削らなくて正解でした。
契約前に確認しておきたい5つ
候補が絞れた段階で、私なら次の5つを聞きます。
- 標準仕様のUA値・C値はいくつか
「等級◯相当」ではなく数値で。UA値・C値の意味はこちら - 全棟で気密測定をしているか
C値は建てて測らないと分かりません。測っていない会社は自社の気密性能を知らないことになります - 性能を上げる仕様はあるか。あるとしていくら上がるか
上位仕様の有無と価格差。ここが会社の「上限」です - 夏の日射をどう遮る設計か
断熱だけ高めて日射対策がないと、夏はかえって暑くなります - 換気はどの方式で、家じゅうに効くのか
気密を高めるほど、空気の入れ替えは機械任せになります
③は特に、契約前にしか聞けません。契約後に「やっぱり上位仕様で」と言っても、間に合わないことがあります。
迷ったら、性能側に寄せておく
誤解のないように書いておくと、「最高の性能にすれば間違いない」とは思っていません。我が家は性能のために初期費用が上がりましたし、光熱費だけでその差額を回収できるとも思っていません(2年住んだ総まとめに正直に書きました)。
生活が苦しくなるほど性能にお金をかけるのは、本末転倒だと思います。
性能は後から直せないからです。迷ったときに削るなら、後から何とかなるもの——広さ、内装、設備——から削る。この順番だけは、2年住んだ今も間違っていなかったと思っています。
まとめ
- 断熱・気密・窓・換気は契約前にしか決められない
- 性能は①会社選び(標準仕様の土台)②仕様選び(上限)の2段階で決まる
- 標準仕様が高い会社を選ぶ方が、オプションを積み上げるより確実
- 「他も見てきてください」と言える会社は、比較されても平気な会社
- 迷ったら性能側に寄せる。ただし無理な予算を組んでまでではない
関連記事:大手ハウスメーカーと地元工務店、どっちがいい?/断熱等級6と7の違いは?九州で2年住んだ実感と電気代/【九州・沖縄】パッシブハウスを建てられる工務店一覧
▶ 保存版ロードマップまとめ|2年実測の全記事を読む順番に整理しました
建てたあとのお金と暮らしの全データは、noteでも公開しています。→パッシブハウスに住んで2年。光熱費・夏の暑さ・後悔まで、実際のところを全部書きます
よくある質問
Q. 検討中のハウスメーカーで性能が足りるか、どう判断すればいいですか?
A. 標準仕様のUA値・C値を数値で聞き、全棟で気密測定をしているかを確認してください。そのうえで「性能を上げる仕様はあるか、いくら上がるか」を聞くと、その会社の上限が見えます。
Q. オプションで性能を上げれば、どの会社でも同じになりますか?
A. なりません。オプションには会社ごとの上限があります。標準仕様が高い会社を選ぶ方が確実です。
Q. 予算が足りないとき、どこを削ればいいですか?
A. 我が家は家を小さくして性能を守りました。後から変えられるもの(広さ・内装・設備)から削るのが、後悔しにくい順番だと思います。ただし無理な予算を組んでまで性能を追う必要はないと考えています。


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