パッシブハウスに住んでみて2年。良かったこと・誤算・お金を全部書く

はじめに・まとめ

結論から言います。パッシブハウスに2年住んでみて、「建ててよかった」が正直な答えです。実質の電気代は月およそ1.3万円、室温は一年中24〜26℃、窓の結露は2年でほぼゼロ。ただし初期費用は約430万円高く、光熱費だけでは元が取れない計算も出ています。それでも同じ選択をする理由を、良かったことも誤算も含めて全部書きます。

いえお
いえお

「パッシブハウスって、実際どうなの?」——検索してもポジショントークばかりで、住んでいる本人の声が意外と見つからない。だからこの記事は、2年分の実測と体感を、いいことも悪いことも並べた”総まとめ”にしました。

たてよ
たてよ

長い記事なので、気になる見出しだけ拾い読みでも大丈夫。詳しく知りたいところには、それぞれ深掘り記事へのリンクを置いています。

2年間の実測サマリー|数字で見るパッシブハウス

まず、この2年間の我が家(九州・PHI認定パッシブハウス・オール電化)の実測を一覧にします。

実質の電気代(買電−売電) 月およそ1.3万円(25ヶ月実測の平均)
室温 一年を通して24〜26℃(冷暖房は24時間自動運転)
夏の湿度 室内50%前後。外が30℃・湿度73%の日も室内25℃・50%(実測写真あり)
窓の結露 2年でほぼゼロ回
冷暖房 家庭用エアコン1台ぶんの能力で家全体。補助エアコンは2年間未使用
断熱・気密 UA値0.43(断熱等級6クラス)・C値約0.3
初期費用の差 ふつうの仕様より約430万円高い

月別の電気代は全データ公開の記事で毎月更新しています。

住んでみて良かったこと5つ|体感は「温度」より「温度差がない」

2年住んで、良かったことを正直な順番で挙げます。

① 家じゅうどこでも同じ温度(これが一番)

リビングだけでなく、廊下も、トイレも、脱衣所も、ほぼ同じ温度です。「寒い部屋に行きたくない」という感覚が暮らしから消えました。冬の脱衣所が寒くないのは、ヒートショックの心配が減るという意味で、快適さを超えて安心です。

② 冬でも半袖、布団は毛布1枚

冬の室内は24℃前後。半袖短パンで過ごせて、朝、布団から出るのがつらくありません。住み心地のリアルの記事に詳しく書いています。

③ 夏がカラッとしている

九州の夏は湿気が本体です。熱交換換気と計画的な除湿のおかげで、真夏でも室内はジメジメしません。帰宅した瞬間の「ムワッ」がないのは、住む前に想像していた以上の快適さでした。夏の実際の記事で証拠写真つきで書いています。

④ 結露と、結露掃除という家事が消えた

前の住まいでは冬の窓がびしょびしょでカビにも悩みましたが、今の家では窓を拭く作業そのものがなくなりました。理由は結露ゼロの記事へ。

⑤ 空気がきれい(花粉・PM2.5・CO2)

第一種換気のフィルターが花粉やPM2.5を止めてくれるので、花粉の時期も室内では快適です。空調パネルの表示はPM2.5ゼロ・CO2も700ppm台。第一種換気を2年使った感想に詳しく書きました。

悪かったこと・誤算も正直に|完璧な家ではありません

いいことばかり書くと嘘くさくなるので、誤算も並べます。

  • 初期費用は高い。我が家は性能のために約430万円上乗せになりました。「いいものは高い」が現実です
  • 光熱費だけでは元が取れない。全国平均の光熱費と比べる計算では、430万円は30年でも回収できませんでした(比較条件を揃えると回収できる計算もあり、詳しくは後述)
  • 冬は多少乾燥する。加湿器なしで湿度50%前後を保てていますが、乾燥に敏感な方は対策の検討を(乾燥の実際の記事
  • 匂いがこもることがある。焼肉など強い匂いは、高気密ゆえに残りやすい。気になるときは窓を開けて逃がしています
  • 唯一の後悔はコンセントの数。性能ではなく、設計時の詰めの甘さでした(後悔とデメリットの検証記事
たてよ
たてよ

「思っていたのと違った」がほとんど無いのは、建てる前にしつこく調べたからだと思う。逆に言うと、調べずに建てたら誤算はもっと多かったはず。

お金のリアル|「元が取れるか」の答えは比べ方で変わる

一番よく聞かれる質問です。我が家の実測で計算した答えはこうでした。

  • 全国の5人世帯平均(電気+ガス)と比べると、光熱費の節約は30年で約147万円。430万円は回収できません
  • 条件を揃えた家(九州・オール電化・一軒家)と比べると、節約は30年で約539万円。24年で回収できる計算
  • つまり「元が取れます」も「取れません」も、何と比べるか次第でどちらも本当

この計算をあなた自身の数字でできる無料の計算シートを配布しています。営業トークを鵜呑みにする前に、一度ご自分の数字で試してみてください。

関連記事:高気密高断熱の家は息苦しい?2年住んだ答えと、後悔しない全体像

▶ 家づくりの検討から会社選びまで、当ブログの全記事を「読む順番」に整理した保存版ロードマップまとめもどうぞ。

【note・無料】30年コスト計算シートを作りました|自分の数字で確かめる

回収できない差額をどう考えるか。我が家は「30年間の快適・健康・家の寿命に払う月約7,900円のサブスク」と捉えて納得しています。この考え方の全体は30年コストの記事にまとめています。

これから建てる人へ|2年住んだ我が家が伝えたい3つ

① 数字で確かめる。「高断熱です」という言葉ではなく、UA値・C値・気密測定の有無を確認してください。数字の意味はUA値・C値のやさしい解説で5分で分かります。九州なら断熱等級6(UA値0.46以下)がひとつの目安です(等級6と7の違いの記事)。

② 日射を設計する。九州で建てるなら、断熱の数字と同じくらい日射の扱いが大事です。夏は軒やシェードで遮り、冬は窓から取り込んで暖房の足しにする——季節で正反対の設計を、両方セットで工務店に聞いてください。

③ 会社選びがすべての土台。パッシブハウスクラスの家は、設計と施工の実力で決まります。九州で実績のある会社は九州・沖縄の工務店一覧にまとめました。

よくある質問(FAQ)

Q1. パッシブハウスに住んでみて、後悔はありますか?

性能面の後悔はゼロです。唯一の後悔はコンセントの数という設計の細部でした。「寒い・暑い・結露・カビ」という住まいの悩みそのものが消えたので、家に対する満足度は2年経っても下がっていません。

Q2. 電気代は実際いくらですか?

オール電化で、太陽光の売電を差し引いた実質負担は月およそ1.3万円(25ヶ月実測の平均)です。冷暖房は一年中24時間つけっぱなしでこの金額。月別の全データはブログで毎月更新しています。

Q3. ふつうの高気密高断熱住宅と何が違うのですか?

方向性は同じで、レベルが違います。パッシブハウスはドイツ発祥の世界基準で、断熱・気密・日射・換気をトータルで設計し、第三者が性能を認定します。ただし我が家の体感として、認定にこだわらなくても「等級6クラス+気密測定+日射のコントロール(夏は遮り、冬は取り込む)」が揃えば、暮らしの快適さはかなり近づくと思います。

まとめ|パッシブハウスは「数字で選べる贅沢」

  • 2年住んだ結論は「建ててよかった」。ただし理由は光熱費ではなく、温度差のない暮らしと健康
  • 実質電気代 月約1.3万円・室温24〜26℃・結露ゼロ(すべて実測)
  • 初期費用は約430万円高く、光熱費だけで元が取れるかは比べ方次第。自分の数字で計算してから決めるのがおすすめ
  • これから建てる人は「UA値・C値・気密測定・日射対策・会社選び」の順で確認を

我が家の自己紹介と家づくりの経緯ははじめましての記事へ。そして、費用の内訳・後悔・住み心地まで一冊にまとめた有料記事もあります。

【note】高性能な家に2年住んだリアル|光熱費・初期費用・後悔まで全部書きます

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