
「冬に暖房つけっぱなしなんて、電気代が怖い」——よく言われます。我が家は九州のパッシブハウスで、冬も24時間つけっぱなし。それどころか、設定温度を2年間一度も変えていません。その電気代を実測で公開します。
九州のパッシブハウスに住んで2年。冬もエアコンは24時間つけっぱなしで、設定は一年中26℃のまま、2年間一度も変えていません。冬(12〜3月)8ヶ月の実測は、買電が月平均17,204円、売電を差し引いた実質負担は月平均11,936円でした。いちばん高かった2026年1月でも実質16,594円です。
そして、住んでみていちばん意外だったのが、我が家では冬より夏のほうが高いということでした。この記事では、冬2年分の月別データをすべて出したうえで、なぜそうなるのかを書きます。
※電気代はすべて我が家の検針票に基づく実測値です(2024年12月〜2026年3月分)。九州電力「電化でナイト・セレクト22」・オール電化・5人家族・延床43坪の数字であり、契約プランや地域によって結果は変わります。
我が家の冬の運転|2年間、設定26℃のまま一度も変えていない
先に、使い方を正直に書きます。かなり極端です。
- 冷暖房は1台だけ(全館空調のComfohome 200。各部屋に個別エアコンはありません)
- 設定温度は一年中26℃。夏も冬も同じで、季節で変えていません
- 2年間、一度も止めていません。旅行で家を空けるときもそのままです
- この運転で、延床43坪の家全体が保たれています
「つけっぱなし」というより、もはや設定画面を触っていないという状態です。冬が来たから暖房に切り替える、という作業自体がありません。
実際の室温はだいたい25℃前後。リビングも寝室も子ども部屋も、家じゅうほぼ同じ温度です。だから冬でも、家の中では半袖・短パンで過ごしています。

旅行のときも止めないの?ってよく驚かれます。うちは猫を室内で飼っているので、その子のためというのもあるんですけど……正直、猫がいなかったとしても止めないと思います。止める理由が特に見当たらないんですよね。
ちなみに我が家には床暖房はありません。ホットカーペットも、こたつも、石油ファンヒーターもありません。冬に使っている暖房器具は、この1台だけです。
冬の電気代、2年分の実測【12月〜3月の8ヶ月】
では数字です。買電(実際に電力会社に払った額)と、売電(太陽光で余った分を売った額)、その差し引きの実質負担を全部出します。太陽光は約5kW、蓄電池はありません。
| 月 | 使用量 | 買電 | 売電 | 実質負担 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年12月 | 545kWh | 14,697円 | 5,148円 | 9,549円 |
| 2025年1月 | 809kWh | 20,973円 | 5,984円 | 14,989円 |
| 2025年2月 | 686kWh | 16,486円 | 5,248円 | 11,238円 |
| 2025年3月 | 654kWh | 15,682円 | 5,536円 | 10,146円 |
| 2025年12月 | 679kWh | 17,389円 | 4,352円 | 13,037円 |
| 2026年1月 | 846kWh | 21,666円 | 5,072円 | 16,594円(冬の最高) |
| 2026年2月 | 744kWh | 15,918円 | 5,504円 | 10,414円 |
| 2026年3月 | 686kWh | 14,822円 | 5,299円 | 9,523円(冬の最低) |
8ヶ月を平均すると、こうなります。
| 期間 | 買電(月平均) | 売電(月平均) | 実質負担(月平均) |
|---|---|---|---|
| 1年目の冬(2024年12月〜2025年3月) | 16,960円 | 5,479円 | 11,480円 |
| 2年目の冬(2025年12月〜2026年3月) | 17,449円 | 5,057円 | 12,392円 |
| 冬2年通算(8ヶ月) | 17,204円 | 5,268円 | 11,936円 |
グラフにすると、こうなります。
冬の実質負担(買電−売電)の推移
※実質負担=買電−売電。棒の長さは金額に比例(0円起点)
暖房を一度も止めず、家じゅう25℃で、半袖で過ごして、実質で月平均11,936円。いちばん寒い1月でも16,594円です。
1年目の冬は電力の契約が4kW、2年目は5kWで、基本料金の条件が違います(2025年3月分から5kWに変更しました)。単純な前年比較にはなっていません。
また、2年目の冬のほうが月平均で約65kWh多く使っています。理由は特定できていません。外気温の違いなのか、暮らし方の変化なのか、我が家のデータだけでは切り分けられないので、そのまま出しています。
売電単価は16円/kWh(2024年度設置・10kW未満のFIT)です。設置年度によって単価は違うため、実質負担の考え方はそのまま他のお宅に当てはまりません。
我が家では、冬より夏のほうが高かった|実質で月約4,800円の差
ここが、住むまで想像していなかったところです。同じ2年間の夏(2025年6〜9月)の数字と並べてみます。
| 季節 | 買電(月平均) | 売電(月平均) | 実質負担(月平均) |
|---|---|---|---|
| 冬(12〜3月・8ヶ月) | 17,204円 | 5,268円 | 11,936円 |
| 夏(2025年6〜9月) | 20,243円 | 3,550円 | 16,692円 |
実質負担の月平均|冬 vs 夏
→ 我が家では夏のほうが月あたり約4,800円高い
夏のほうが、実質で月あたり約4,800円高いという結果でした。ピーク同士で比べても、夏のピーク(2026年7月)は実質21,298円、冬のピーク(2026年1月)は16,594円です。

「暖房費が怖いから冬が心配」と思って調べている人が多いと思うんですが、少なくとも九州の我が家では、警戒すべきは冬ではなく夏でした。九州の残暑が長いことと、冬がそこまで厳しくないこと。両方が効いています。
これは「パッシブハウスだから」というより、九州という土地の条件が大きいはずです。北海道や東北の高性能住宅では、当然この関係は逆になります。地域を抜きに「冬より夏が高い」と一般化はできません。夏の詳しい数字はエアコンつけっぱなしは高い?九州で24時間冷房した我が家の夏の電気代に書いています。
冬が安い理由は2つ|夜の電気と、冬のほうが多い売電
理由①:冬の暖房は、夜の安い電気で動いている
我が家の契約は九州電力の「電化でナイト・セレクト22」。夜間(22時〜翌8時)の単価が14.59円/kWhと安く、平日の昼(夏冬)は27.63円/kWhと、約1.9倍の差があります。
同じ1kWhでも、時間帯で単価がこれだけ違う
→ 昼は夜の約1.9倍。どの時間帯に使うかで、同じ使用量でも金額が変わる
そのうえで、買電のうち昼間が占める割合を季節ごとに見ると、はっきり差が出ました。
買電に占める昼と夜の割合
→ 冬は安い夜の電気が主力。これが「冬のほうが安い」の正体のひとつ
数字にすると、こうなります。
| 季節 | 昼間の買電比率 |
|---|---|
| 夏(6〜9月) | 約51% |
| 冬(12〜2月) | 約36% |
夏の冷房は、太陽が出ている昼の高い電気を使わざるをえません。一方の冬は、暖房の負荷が夜に寄るぶん、安い時間帯の電気の割合が増えます。同じ「つけっぱなし」でも、単価の構成が違うわけです。
理由②:太陽光は、冬のほうが売電が多かった
もうひとつ意外だったのがこれです。売電の月平均は、冬5,268円に対して夏3,550円。冬のほうが多く売れていました。
売電額の月平均|冬のほうが多い
発電した電気の行き先
☀ 夏:発電 → 冷房で自家消費(多い) → 売る余りが減る
❄ 冬:発電 → 昼の消費は少なめ → 余って売電に回る
理由はシンプルで、夏は発電した電気を自分の家の冷房で使ってしまうから。売りに回る余りが減ります。冬は暖房の負荷が夜(=発電しない時間)に寄るぶん、昼に発電した電気が余って売電に回りやすい。「太陽光は夏に稼ぐもの」というイメージとは、我が家の実測は逆でした。
買電だけを見て「冬は高い/安い」と判断すると、この部分を見落とします。売電を差し引いた実質負担で見ることが大事だと思っています。
電気代以外に変わったこと|足元・衣替え・押し入れ
足元が冷たいと思ったことがない(理由は基礎断熱)
冬の住まいの不満で多いのが「足元が寒い」。我が家では、これを一度も感じたことがありません。
理由は基礎断熱です。床下を家の外として扱うのではなく、床下も室内と同じ空間として断熱の内側に入れているため、床下そのものが寒くならない。だから床が冷たくなりません。
言葉だけだと分かりにくいので、図で見てください。断熱材が入っている場所が違うのがポイントです。

床は無垢の栗材なので、冬でも裸足のほうが気持ちいいくらいです。スリッパを履く習慣がなくなりました。床材の2年間の経年変化は無垢床は傷だらけで後悔する?栗の床と塗り壁に2年住んだ経年変化にまとめています。
衣替えも、寝具の入れ替えもない
家じゅうが一年中ほぼ同じ温度なので、寝具を季節で入れ替えていません。冬も毛布1枚のまま。夏用の寝具と冬用の寝具、という区別自体がなくなりました。
この結果、思わぬところに影響がありました。寝具をしまう押し入れが必要なかったのです。

冬用の羽毛布団をしまう場所、夏用のタオルケットを出す手間。前の家では当たり前だった家事が、まるごと消えました。収納が減らせるということは、その分だけ家を小さくできるということでもあります。

収納は、床面積を食います。「厚い布団をしまう前提」で計画していた押し入れが不要になったのは、間取りと建築費の両方に効く話でした。我が家は予算の都合で50坪から43坪に縮めていますが、それでも狭さを感じていないのは、こういう積み重ねもあると思っています。
これから建てる人へ|つけっぱなしが成立するのは、家の性能があってこそ
最後に、いちばん大事なことを正直に書きます。
「暖房をつけっぱなしにすれば安くなる」わけではありません。断熱・気密が弱い家で同じことをすれば、暖めた空気が逃げ続け、エアコンがフルパワーで動き続けて、電気代は跳ね上がります。
我が家の場合、UA値は0.43、C値は約0.3cm²/m²です。暖めた空気が逃げにくいから、エアコンは最初に暖めたあと弱い運転を続けるだけで済む。これが「つけっぱなしでも安い」の正体です。運転方法の工夫ではなく、家の性能の話だということです。
断熱・気密は、住んでから後付けするのが難しい部分です。逆に言えば、ここさえ確保しておけば、冬の過ごし方について考えることがほとんどなくなります。我が家が設定温度を2年間触っていないのは、まさにそれです。
家の性能そのものについては高気密高断熱の家は息苦しい?2年住んだ答えと、後悔しない全体像に、冷暖房1台で家全体をまかなう仕組みはエアコン1台で家中まるごと冷暖房できる?我が家の2年の実際にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 冬も暖房を消さないのは、電気代の無駄では?
我が家の実測では、冬(12〜3月)8ヶ月の実質負担は月平均11,936円でした。つけっぱなしをやめた場合の数字は測っていないので比較はできませんが、少なくとも「つけっぱなしにしたせいで高額になっている」という結果にはなっていません。ただしこれは断熱・気密が確保された家での話です。
Q2. 九州だから安いだけではないですか?
地域の影響は間違いなくあります。ただ我が家の場合、九州であることは冬に有利・夏に不利に働いています。実際、実質負担は夏(月平均16,692円)のほうが冬(11,936円)より高く、九州の条件は必ずしも有利なだけではありません。
Q3. 床暖房は入れていますか?
入れていません。基礎断熱で床下も断熱の内側にあるため床が冷たくならず、足元が寒いと感じたことがないからです。冬に使っている暖房器具は、全館空調1台だけです。
まとめ
- 冬も24時間つけっぱなし。設定は一年中26℃で、2年間変えていない(旅行中も止めない)
- 冬(12〜3月)8ヶ月の実測は、買電17,204円・売電5,268円・実質負担は月平均11,936円
- 冬のピーク(2026年1月)でも実質16,594円
- 我が家では冬より夏のほうが高い(実質で月約4,800円の差)
- 冬が安い理由は、夜間の安い電気が主力(昼間比率が冬36%・夏51%)なのと、売電が冬のほうが多いこと
- 足元が冷たくないのは基礎断熱だから。衣替えも寝具の入れ替えもなく、寝具用の押し入れが不要になった
- ただし、つけっぱなしが成立するのは家の性能があってこそ
「冬の暖房費が怖い」と感じたとき、設定温度を下げて我慢する前に、一度考えてみてください。それは使い方の問題ではなく、暖めた空気が家から逃げているサインかもしれません。
👉 我が家の電気代を24ヶ月分すべて公開したのがこちら:パッシブハウスの電気代を全部公開します
👉 冬でも半袖でいられる理由を解説したのがこちら:新築なのに寒いのはなぜ?我が家が冬でも半袖で過ごせる理由を解説します
📓 もっと踏み込みたい方へ(note・有料記事)
▶ この家の2年間の全体像は住んでみて2年の総まとめ記事に、良かったことも誤算も書いています。
▶ 家づくりの検討から会社選びまで、当ブログの全記事を「読む順番」に整理した保存版ロードマップまとめもどうぞ。
【note】高性能な家に2年住んだリアル|光熱費・初期費用・後悔まで全部書きます
24ヶ月分の月別データと、初期費用がどれくらい上乗せになったのかまで踏み込んでいます。
【出典】電気代は我が家の検針票に基づく実測値(2024年12月〜2026年3月分)。電力量料金の単価は九州電力「電化でナイト・セレクト22」の公表単価(2024年4月改定・税込)、売電単価は2024年度のFIT単価(10kW未満)です。

コメント