
家を建てるとき、多くの人が「いくらで建てられるか」を一生懸命調べます。でも、本当に効いてくるのは建ててからの30年で、家にいくらかかるかのほう。今日はその話をします。

うちは九州で、夫婦と子ども3人の5人暮らし。家に住んで2年たちました。電気代やメンテのこと、実際の数字で正直に書きますね。
「家は3,000万円」「いや4,000万円」——家づくりの話になると、どうしても建てるときの金額に目が行きます。けれど、家計にじわじわ効いてくるのは、その後の長い時間にかかるお金です。
この記事では、家を持ったあとの30年でかかるお金を、できるだけ正直に整理してみます。とくに多くの人が見落としがちな「光熱費」について、我が家の実測データ(電力会社の検針票ベース)を全部お見せします。
※この記事は2026年6月時点の情報です。制度や費用の目安は変わります。最新・正確な内容は各公式サイトでご確認ください。金額のうち「我が家」と書いたものは検針票などの実測値、それ以外は一般的な目安です。
家のお金は、建ててからの「30年」が本番
家は、建てて終わりではありません。住んでいる間ずっと、点検や補修、設備の入れ替えにお金がかかります。
これは感覚の話ではなく、国も前提にしていることです。国土交通省の長期優良住宅の基準では、屋根・外壁・配管といった大事な部分について、点検の間隔は最長でも10年を超えないこと、そして地震や台風のあとにも点検することが求められています(出典:国土交通省「長期優良住宅」)。

つまり、どんな家でも10年に一度くらいは「そろそろ手を入れる時期」が来る、というのが公式の前提なんです。屋根・外壁の塗り替えや、給湯器・換気・太陽光の機器の入れ替えがこれにあたります。
具体的な金額は、家の作りや地域、業者によって大きく変わるので、ここで「○○万円です」と断言はしません。ただ、「建てたあとも、まとまったお金が定期的にかかる」ということだけは、最初に頭に入れておきたいポイントです。
そもそも、日本の家は「約30年」で建て替えられている
「30年」というものさしには、もう一つ理由があります。じつは日本の住宅は、取り壊されるまでの平均が約30年と、欧米に比べてかなり短いのです。国土交通省が、住宅の「取り壊しまでの平均築後年数」を国際比較したデータがあります。
取り壊されるまでの平均築後年数(家が使われる長さ)
国土交通省の資料より作成。日本は欧米のおよそ半分以下。
出典:国土交通省「我が国の住宅ストックをめぐる状況について(補足資料)」。日本は総務省・住宅土地統計調査、米英は各国調査をもとにした国交省の推計です。
国交省自身も「日本の家は諸外国に比べて半分以下」と指摘しています。アメリカやイギリスでは、同じ家を60年・80年と、世代をまたいで使うのが当たり前なのです。
とくに、いまの高断熱な家づくりの考え方が生まれたドイツをはじめとする欧州では、石やレンガでつくった家を何世代にもわたって住み継ぐのがふつうです。「家は一代で建てて、いずれ建て替えるもの」という日本とは、そもそも家に対する考え方が違うのですね。

平均で30年って、けっこう衝撃……。住宅ローンを払い終わる頃に、もう建て替えの時期が来るってことですよね。
なぜ日本の家はこんなに短いのか。建て替えを前提につくられてきたこと、そして躯体の耐久性や結露への対策が十分でなかったことが大きいと言われています。

逆に言えば、躯体をしっかり作って、壁の中の結露を防いで、定期的にメンテすれば、日本の家ももっと長く使えるということです。国の長期優良住宅という制度も、何世代も使い続けることを前提にしています。
これはコストの話に直結します。もし30年ごとに建て替えるなら、その都度また数千万円。長く使える家は、この「2回目の建築費」を丸ごと節約できるとも言えます。あとで触れますが、高性能な家は初期費用が高めでも、「建て替えずに長く住める」ことが、じつは大きな価値になります。
「高気密・高断熱の家って、何年もつの?」とよく聞かれます。でも、家の寿命を決めるのは断熱性能そのものではなく、構造躯体の丈夫さ・壁の中で結露を起こさないこと・定期的なメンテです。しっかり断熱して壁内の結露を防ぐことは、結果として躯体を長持ちさせることにもつながります。性能を上げることと、家を長く使えることは、地続きなのです。
30年でかかるお金は、大きく3つ
整理すると、家を持ってからの出費は、ざっくり次の3つに分けられます。
- ①初期費用……建てるとき、買うときに一度だけかかるお金
- ②メンテ・設備の更新……屋根や外壁の補修、給湯器・換気・太陽光などの機器の入れ替え
- ③光熱費……毎月かかり続ける電気・ガスなどのお金

①と②って「たまにドンとかかる」から目立つけど、③の光熱費って「毎月ちょっとずつ」だから、意外と気にしないまま30年過ぎちゃいそう。
そうなんです。じつは③の光熱費こそ、30年というスパンで見ると一番効いてくることがあります。毎月のことなので、30年だと360回。少しの差が、積み重なると大きな差になります。
見落としがちな③光熱費こそ、30年でじわじわ効いてくる
ここからは我が家の実数字です。九州・5人家族・オール電化・延床43坪。12畳用のエアコン1台を、一年中ほぼつけっぱなしで家全体を冷暖房しています(夏は26℃設定)。
電力会社の検針票をもとにした、直近の実測がこちらです。
| 項目 | 我が家の実測 |
|---|---|
| 1か月の電気代(実質負担※) | 平均 約13,000円 |
| 真夏のピーク(猛暑の月) | 約19,300円 |
| 真冬のピーク(一番寒い月) | 約16,600円 |
| 年間の電気の使用量 | 約9,000kWh |
※「実質負担」=電力会社から買った電気代から、太陽光(約5kW)で売った売電収入を差し引いた、実際の手出し額です。月別の生データは電気代を全公開した記事にすべて載せています。

5人家族で、しかも延床43坪をエアコン1台で一年中つけっぱなしにして、この金額です。参考までに、総務省の家計調査(2024年)では、5人家族の電気代は全国平均で月14,413円。我が家もほぼ同じ水準なんです。
でも、中身がまるで違います。一般のご家庭の多くはガスも使っていて、電気代とは別にガス代もかかります。我が家はオール電化でガス代はゼロ。しかも、暑い日も寒い日もエアコンを切らずに24時間つけっぱなし、家じゅうどこも快適なまま、この金額に収まっています。同じくらいの光熱費でも、得られる中身(快適さ)がまるで違う——これが断熱・気密の力です。
電気代の全国平均の出典:総務省 家計調査(2024年・二人以上の世帯・世帯人員別「表3-1」)。エアコンを24時間つけっぱなしにしている理由は、こまめに消すより家全体の温度を一定に保つほうが、結果的にラクで快適だからです。
毎月の光熱費は、長い目で見ると大きな差になります。仮に、毎月5,000円の差があったとします。たった5,000円でも、1年で6万円、30年では180万円。もし月1万円の差なら、30年で360万円です。毎月のことなので、小さな差が、家を建てるときの数百万円に匹敵する金額に育っていきます。
「初期費用が高い」をどう考えるか
ここで正直に書きます。我が家のような高気密・高断熱の家は、建てるときの初期費用は高くなります。断熱材を厚くし、窓を性能の高いもの(樹脂のトリプルガラス)にし、気密もしっかり取る——どれもお金がかかります。
我が家の試算では、ふつうの仕様で建てた場合より、初期費用が400万円ほど高くなりました。

400万円って聞くと「高い!」ってなるけど……さっきの「光熱費の差は30年で360万円」と並べて見ると、ちょっと景色が変わりますよね。
そうなんです。初期費用の差は、毎月の光熱費の差で、長い時間をかけて少しずつ取り戻していくイメージになります。もちろん「何年で元が取れるか」は、光熱費の差や金利でも変わるので単純ではありません。我が家の細かい回収計算や、太陽光が得だったかどうかは、別の記事にまとめています。
削れるお金と、削れないお金がある
30年コストで考えると、家づくりで削っていいお金と、削ってはいけないお金が見えてきます。
断熱・気密・窓の性能は、あとからやり直すのがとても難しい部分です。壁を全部はがして断熱材を入れ直す、なんて現実的ではありません。ここをケチると、その後30年ずっと「寒い・暑い・光熱費が高い」が続いてしまいます。
(性能を数字で確かめるモノサシ「UA値・C値」は、こちらの解説記事でやさしく説明しています)
逆に、家の広さや内装、設備のグレードは、あとから足したり、最初から控えめにしたりできる部分です。

我が家も予算オーバーしそうになったとき、家の広さを少し小さくして、その分を断熱・気密にまわしました。性能は削らない、広さで調整する。これが我が家の判断でした。結果、住んでみたら広さは十分でしたよ。
「家は性能がすべて」と言いたいわけではありません。大事なのは、限られた予算をどこに配るか。30年というものさしで見ると、「後から直せないところ」を優先する判断がしやすくなります。
まとめ:30年で見ると、答えが変わる
- 家のお金は「建てるとき」だけでなく、建ててからの30年で考える
- かかるお金は、①初期費用 ②メンテ・設備更新 ③光熱費 の3つ
- 見落としがちな③光熱費は、毎月の差が30年で数百万円に育つ
- 初期費用が高い高性能な家も、光熱費の差で長い目では差が縮む
- 断熱・気密・窓など「後から直せないところ」を優先するのが、30年でトクする考え方

うちが2年住んでみてどうだったか、住み心地や後悔したことは、こちらの記事に正直に書いています。よかったら読んでみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 家のメンテナンスはいつから必要?
A. 国の長期優良住宅の基準では、屋根・外壁・配管などの点検間隔は最長でも10年。どんな家も、10年単位で点検・更新の時期が来ます。
Q2. 日本の家は何年住める?
A. 取り壊されるまでの平均は約30年。アメリカ(約66年)・イギリス(約81年)に比べてかなり短いのが現状です(国土交通省の資料より)。
Q3. 光熱費の差は30年でどれくらい?
A. 毎月5,000円の差なら30年で180万円、毎月1万円なら360万円。建てるときの費用の差に匹敵します。
そして、建てる前の費用の差・光熱費・初期差額をどう取り戻していくのか、お金まわりをもっと細かく、数字でぜんぶ書いたのが有料の記事です。「これから家を建てる人が、いくら準備すればいいか」を判断する材料として書きました。気になる方だけ、どうぞ。
関連記事:高気密高断熱の家は息苦しい?2年住んだ答えと、後悔しない全体像
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▶ 【note】高性能な家に2年住んだリアル|光熱費・初期費用・後悔まで全部書きます
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